生産管理の基礎知識 生産計画
需要予測とは?
販売実績だけでなく、現場や市場の情報も手がかりに。需要予測の役割と、数字を計画に使うときの注意点を整理します。

ムダのない生産を行い、顧客からの注文に対して機会損失の無いように対応するためには、「需要予測」に基づく生産管理と在庫管理が不可欠です。業界によっては、得意先から生産計画の内示情報が届いたり、受注が来てから生産を開始する完全受注生産の形態をとっている企業もあるかもしれません。
まずは需要予測の基本的な意味や定義、その重要性について見ていきましょう。
この記事の目次 全6項目
需要予測の意味
需要予測は、過去の実績や市場の情報を使って、将来「何が、いつ、どれだけ必要か」を見積もることです。営業部門、生産管理部門などが協力して行います。移動平均法や指数平滑法などの時系列モデル、専門家の意見、市場調査といった方法があります。予測と実績の差を確かめ、次の見積もりに反映することが重要です。
代表的な計算方法は、需要予測の手法をまとめた記事で紹介しています。ものづくりの事業を継続するには、生産量と在庫を需要に合わせて調整することが欠かせません。たとえば、過剰生産によって在庫過多に陥ればキャッシュフローを悪化させる要因となり、反対に生産が間に合わなければ、販売機会の損失を招きかねません。
このような危険要因や不確実性を最小化し、事業活動における収益性を最大化するためにも精度の高い需要予測が必要となるのです。
過去のデータを用いた統計的な定量的予測
これまでに集積してきた販売データや顧客の購買行動、気温などの外的要因を加味して需要予測を行う方法です。たとえば、消費者向けの食品を扱っている食品メーカーの場合、まずはどんな時期にどんな商品が売れるのかはもちろん、購入者層や気候的要因も合わせて、過去のデータを用いて分析していきます。
気温が何度になるころからどの商品が売れ始めるのか、誰をターゲットにするのかなど、需要予測を活用すればより詳細な予測が可能です。なお、年々変わる天候やトレンド、株価乱高下など、過去のデータだけで判断できない要因をどのように評価するかで、予測の精度は変わります。データと予測を上手に使い分けながら、需要予測を行うことが重要です。
担当者や専門家の意見や情報に基づいた定性的予測
担当者や専門家による需要予測は、これまで培ってきた経験やスキル、知識を活用します。デルファイ法は、専門家から匿名で意見を集め、集約した結果を伝えたうえで、再び回答を求めることを繰り返す方法です。個人の発言力に左右されにくくしながら、見通しを整理します。業界予測や財務戦略、リスク想定など、高い専門性が求められる分野の予測を立てる際に用いられます。
なお、人的な経験をもとに予測しているため、予測の精度にブレが発生する点に注意しましょう。対策方法としては、複数の需要予測を掛け合わせ、精度向上を図ることが挙げられます。
市場調査による予測
対象の商品やサービスを展開する市場の調査を行い、需要を予測する手法です。新製品やサービスを導入するにあたり、ターゲット層に向けてアンケート調査やインタビュー調査、観察調査などを行い、その結果をもとに需要予測を立てます。なお、市場調査のポイントとして、以下の3つが挙げられます。
• 実施目的の明確化• ターゲット層の明確化(ペルソナの設定)• 想定結果を予想し、結果と対比する上記を意識しながら市場調査を行うことで、目的にブレが生じにくく、より精度の高い市場調査が行えます。以上の点を考慮しながら、市場調査を実施しましょう。
AIや機械学習を用いた予測
AIや機械学習を使うと、販売実績や気象、販促など、多くの情報の関係を予測に取り込めます。ただし、学習に使うデータの品質や、過去と現在の条件の違いが結果に影響します。導入する際は、まず移動平均などの単純な方法と比べ、予測精度や運用の負担が改善するかを確かめましょう。複雑なモデルを使えば必ず精度が上がるわけではありません。
おわりに
できるだけ正確な需要予測があってこそ、適切な生産計画を立案することができます。正しい根拠や要素をもとに予測計画を立てられるようになっていきましょう。

