生産管理の基礎知識 生産計画

工数計画とは?負荷と能力を確かめる方法

必要な仕事量と、使える人・設備の能力を比較する。工数・負荷率の計算から、山積み・山崩しまでを説明します。

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生産管理はヒトの管理をすることも仕事の一つです。また、立案した生産計画に対して、設備の負荷状況はどうか、人員計画はどうか、を数値で計算して実現可能性を判断していくことが重要です。ヒトや設備を適切に配置して、効率よく生産できるように事前に負荷計算をしていくわけです。

その重要性や具体的な計算方法を見ていきましょう。

この記事の目次 全4項目

負荷計画の目的

まずは、工程管理における負荷計画がどのようなものか見ていきましょう。負荷計画とは、生産能力と生産負荷を調整した計画のことを指します。工程管理を適切に行うためには、その工程にどれくらいの生産負荷(仕事量)があるか把握する必要があります。生産負荷は工数計画によって決められており、その仕事をこなせるだけの生産能力が必要です。

生産能力と生産負荷が見合っていなければ、生産が追いつかず、納期に遅れが生じるかもしれません。一方で、生産能力が余っているとムダが生じて、生産効率が下がってしまいます。そこで負荷計画を立てて、その状況を判断していくわけです。負荷計画を立てることで、生産能力と仕事量を比較し、生産計画の実行可能性を確かめます。

人材や工場の機械に不足があった場合は、人員の適正配置やラインの追加などの対策を事前に行います。生産計画の作成と同じ段階で負荷計画を行うので、生産能力に見合った生産計画を立てられるのです。より効率的な作業配分・作業スケジュール策定のためには、余力管理も大切なポイントで、数量が増減した場合のバッファを把握しておいたり、予定に対する進みと遅れを調整する際に必要となってきます。

負荷率や余力管理は、多品種少量生産や注文生産が増えている昨今において、特に重要視されています。

負荷計画の計算手順

負荷率を計算する方法を紹介します。

ステップ1:負荷率計算に必要なデータを収集

まずは、必要なデータがそろっているのかを確認し、収集していきましょう。負荷率の計算に必要なデータは以下の通りです。

  • 製品別の標準工数(人と機械を区別)
  • 機械台数と、1人が担当できる台数
  • 対象期間の生産量と歩留まり
  • 1日の実稼働時間と稼働日数
  • 出勤率、停止時間、段取り条件

データの管理はERPソフトウェアがあれば容易ですが、Excelで作成して管理しておくことも十分可能です。データが揃ったところで、負荷率の計算を開始します。

ステップ2:機械の負荷率を計算

機械の生産能力と保有台数が適正かどうかを確認する作業です。機械の生産能力は以下の式で算出されます。機械1台の月間生産能力=1時間あたりの生産量 × 1日の実稼働時間 × 月間稼働日数停止時間や歩留まりをどこに含めるかを決め、二重に控除しないようにします。同じ能力の機械が複数ある場合は、台数を掛けて全体能力を求めます。

機械の生産能力を算出した後、機械の必要台数を計算します。必要台数=月間必要生産量 ÷ 機械1台の月間生産能力実際に必要な台数は端数を切り上げます。能力と必要量は、良品数・投入数などの基準を揃えましょう。負荷率(%)=必要生産量 ÷ 保有設備の生産能力 × 100時間で管理する場合は、必要工数を使える工数で割ります。

機械の必要台数が現有保有台数を上回っている場合、1ヶ月あたりの生産量調整や外注などの対応が必要です。

ステップ3:人の負荷率を計算

機械が不足していないか・期間内の製造が可能かを確認した後、人に対しても同様に負荷率を計算します。1ヶ月に必要な所要工数の計算式は以下の通りです。月間所要工数=月間生産量 × 1個あたりの標準工数例えば、1,000個を1個あたり0.1人時でつくるなら100人時です。段取りなどを別管理している場合は、その工数も加えます。

1人で複数台を担当する場合も、人の工数が台数に反比例して減るとは限りません。材料の着脱、移動、検査、自動運転中の待ち時間などを見て、人と設備の工数を分けて設定します。標準工数を間違えると生産計画が大幅に狂ってしまうため、念入りな確認が大切です。続いて必要な人員数が整っているかを、以下の式で計算します。

必要人員=月間所要工数 ÷(1人1日の実稼働時間 × 月間稼働日数 × 出勤率)出勤率90%は0.9として計算します。休憩・停止・余裕を標準工数と実稼働時間のどちらで考慮したかを揃え、必要人数は作業やシフトの条件に合わせて判断します。必要人数と配置可能な人数を比較し、工程間の応援、日程変更、外注、増員などを検討します。残業を前提にせず、安全に無理なく働ける配置を考えましょう。

負荷の調整方法

つづいて、具体的にどのようにして負荷配分を行うのか見ていきましょう。基本的に生産計画は月次で作成されるため、月次の負荷計画が必要になります。その月にどれくらいの数量を生産するか決めたら、生産能力を把握して月次の負荷計画を作成します。しかし、毎日一定のリズムで生産ができるとは限らないため、月次の負荷計画は日別の負荷計画に落とし込むことが必要です。

日別の負荷計画は大きく変わる場合もあるので、月次の負荷計画では問題なくとも、週単位や日別で見ると過不足が発生する可能性があるのです。日別の負荷計画では、生産計画を達成できるように日ごとの仕事量を調整しましょう。このように月次から日別の負荷計画へ落とし込むことで、より納期を守りやすくなります。

山積み

負荷配分を行うためには、まず期間別にそれぞれの負荷を積み重ねる「山積み」をします。生産工程に必要な資材・人員・機材といった資源と、負荷を明確にするために山積み表を作成しましょう。基本的に横軸に期間(「月」または「週」)、縦軸に工程別の負荷を示したグラフを作成し、全体の仕事量を洗い出してください。

山積み表を作成したら、次にその期間ごとの生産能力を反映させた「能力線」を引いてください。

山積みの図解
山積み図を押すと拡大できます

この能力線から溢れている負荷は、負荷配分が必要な対象となります。能力線を下回る部分は余力です。すべてを仕事で埋めるのではなく、変動への備え、保全、教育などに使うことも考えられます。

山崩し

効果的に生産を行うためには、生産能力に対して過不足ない負荷に調整する必要があります。作成した山積み表の中で、対策が必要な負荷が超過した分を能力線に合わせることを、「山崩し」と呼びます。例えば、納期や前後工程の条件を守れる範囲で、余力のある日や別の設備へ仕事を移します。必要に応じて能力を増やすことも含めて、負荷と能力の釣り合いを調整します。

期間の振り替えだけで対応できない場合は、外注、応援、設備増強、受注・納期の調整などを検討します。月間合計だけでなく、工程別・日別の制約も確認しましょう。

おわりに

得意先からの受注に対して対応し、生産計画を実現させるためには、負荷計算は避けては通れません。また、データ上での計算も重要ですが、現場の状況や事情を反映させることも必要です。正しい情報・データをもとに事前シミュレーションを大事にしていきましょう。