生産管理の基礎知識 生産計画
需要予測の代表的な手法と使い分け
移動平均、指数平滑、回帰分析などの特徴を比較。需要の変動に合う方法を選び、予測の根拠を理解します。

ここでは需要予測の手法、予測モデルの代表例を紹介します。どれが良い、という話ではなく需要の特徴を理解し、傾向にあったモデルを適用していくことが重要です。今回は複雑な計算式は省いて解説をしています。近年ではシステム化、AI化している会社も多いかもしれませんが、システムの計算式もこのあたりの予測モデルを採用し、アレンジしていることが多いです。
算出根拠や算出過程をブラックボックス化せず、理解しておくことが重要です。
この記事の目次 全7項目
移動平均法
移動平均法は、移動させながら平均をとっていく方法です。特定期間の過去のデータの平均値を用いて需要予測をします。過去のデータの一部分を平均化することで、時系列データの短期的な変動を滑らかにして、データの中心的傾向を見ることが可能です。具体的には、規定された期間のデータを足し合わせて、合計を期間のデータ数で割ります。
例えば、過去3カ月の移動平均であったら、1カ月前・2カ月前・3カ月前のデータを合計し、データ個数の3で割ります。移動平均は、直近の一定期間について算術平均を繰り返し求める方法です。細かな変動をならして水準を見るのに役立ちますが、上昇や下降が続く局面では実際の変化に遅れて反応します。
一方で長期的なトレンドやパターンを捉える点は難しく、選択する期間で予測結果が大きく変わる場合があるため注意しましょう。
指数平滑法
指数平滑法は、前期の実績値と予測値から重みづけをして今期の予測をする方法です。時系列データから予測値を算出し、最新のデータに重みを置きながら、徐々に過去のデータに対しての重みを減らします。新しい情報ほど予測に大きな影響を与え、古い情報は徐々に影響が小さくなるという考え方の手法です。
ここでいう単純指数平滑法は、水準を更新する方法で、トレンドや季節性を直接モデル化しません。季節性を「除去する」方法ではない点に注意してください。
ホルト・ウインタースモデル(三重指数平滑法)
ホルト・ウィンタース法は三重指数平滑法とも呼ばれ、指数平滑法を発展させた手法です。トレンドと季節性を同時に考慮します。時系列データの予測をおこなう1つの手法です。指数平滑法で設定した平滑化定数以外に、トレンド要素の平滑化定数と季節要素用の平滑化定数を決定します。
0から1の間の値でそれぞれ設定し、大きい値ほど直近のデータへの反応が早く、小さいほど反応は鈍くなります。トレンドと、月別・曜日別など一定の周期で繰り返す季節性があるデータに使います。データに合うモデルとパラメータを選び、過去の期間で予測性能を確かめます。
時系列分析法
時系列分析は、時間順に並んだデータから、水準・トレンド・季節性などを捉える方法の総称です。移動平均や指数平滑法も、この中に含まれます。ただし、過去の実績をそのまま流用するだけではなく、トレンドや季節変動や循環変動、社会情勢なども考慮して予測を立てなければなりません。
例えば、季節性を考慮する指数平滑モデルや、自己相関を使うARIMAモデルがあります。「季節手法・非季節手法・ARIMA・重回帰」の4種類に分かれるわけではなく、モデルによって扱える特徴が異なります。
クロストン法
クロストン法は、需要が発生したときの数量と、需要が発生する間隔を、それぞれ平滑化して見積もる方法です。予測需要量は、平均的な発生数量を平均的な発生間隔で割って求めます。交換部品など、需要ゼロの期間が多い「間欠需要」に使われます。基本形には偏りがあることも知られており、実績に合うかの検証は必要です。
回帰分析法
回帰分析は、目的変数と説明変数の統計的な関係をモデル化し、予測に使う方法です。変数同士に関係が見えても、それだけで因果関係が証明されるわけではありません。需要予測においては目的変数が需要、説明変数が価格や経済指標など需要に影響を与える要素です。ExcelやGoogleスプレッドシートで簡単に回帰式を求められます。
予測に使う時点で、説明変数の値が分かるかも確認しましょう。実際にはまだ分からない将来の情報を使って検証すると、実運用よりよい精度に見えてしまいます。
おわりに
需要予測モデルについて紹介していきました。さまざまなモデルについて、それぞれを理解しておくことで適切なモデルを自分の業務に当てはめていくことが重要です。カンやコツ、経験則からくる感覚で行っている人も多いですが、過去のデータをもとに論理的に予測していくことでその精度を高めていくことが重要です。
予測が外れた場合に、次につなげるためにも算出過程をしっかりと理解しておくと良いでしょう。

