生産管理の基礎知識 DX・生産管理システム
MRPの計算ロジックを図解で理解する
総所要量、在庫の差引き、ロットまとめ、リードタイム。部品手配の数量と時期が決まる流れを具体例で追います。

今回はMRPの流れや計算ロジックについて掘り下げていきます。どのような情報をインプットするのか、マスタがどのように機能しているのか、オーダーを生成して実行系に渡すまでの流れ、ロジックを解説していきます。
この記事の目次 全7項目
オーダー生成までの流れ

まずは需要予測や内示情報などをもとに、基準となる生産計画を立てることから始まります。これによって、製品ベースでいつ、どれだけ必要なのかを明確にしていきます。そして、生産計画とBOMを組み合わせて掛け算をすることで、使用する部品や材料ベースでどのくらい必要なのかが算出されます。
それから、在庫情報や生産ロット、発注ロット、各工程のリードタイムなどを反映することで、本当に必要な分だけ手配できるようなオーダーを生成する流れになります。こういったように仕入れ先や製造部門に出すためのオーダーを生成するまでの仕組みがMRPの本質的な役割なんです。
それでは、それぞれの計算過程について、具体的な数字も使いながら観ていきましょう。
①基準生産計画

基準生産計画は、完成品ベースの生産計画のことを指します。内示情報をもとに、ただ立てれば良いのではなくて、生産能力や数量の段付きなど、さまざまな要素を考慮して、平準化したり、あえて寄せて計画したり、担当者の思いや考えも入れながら立案していくことが重要です。MRPにおいても、すべての基準となるものになるので、非常に重要な役割を担っています。
②総所要量の算出

生産計画が立案されると、BOMを通して構成品へと展開されます。BOMには、製品1台つくるために、どの部品が、いくつ必要なのかが登録されていますので、生産計画×構成使用数が、そのまま、総所要量として算出されます。今回の例で言うと、製品Aに対して、生産計画を立案していき、子部品Bについて所要量を計算するためには、生産計画数×2個と言う計算で算出されます。

図の構成では、製品A1個にBが2個、B1個にDが2個必要なら、A1個あたりDは4個です。ただし、実際の多階層MRPでは、各階層の在庫や入荷予定を差し引き、親品目の手配数量・着手時期から子品目へ順に展開します。
③正味所要量の算出

生産計画×BOMで全体として使用する数量を出しましたが、それがそのまま必要な数量になるわけではありません。在庫情報を考慮する必要があるからです。すでに使える在庫や入荷予定があれば、その分を差し引きます。以下は、入荷予定・安全在庫・ほかの引当がない単純な例です。
今回、総所要量を計算した部品Bについて、すでに在庫が50個ある場合を考えていきましょう。1日に20個使う計画なら、初めの在庫50個から引いて30個が残り、この日の追加手配は不要です。ですが、2日に200個使用する計画に対しては、残りの在庫が30個しかないので、これから手配すべき数量は170個となるわけです。
このように、必要な分だけを手配するために、在庫情報を反映して、再計算するのです。ここまでで、手配が必要な数量が明確になりました。
④ロットまとめ

部品や材料を手配するために、重要になってくるのがロットと言う概念です。大量にモノを作る工場や仕入れ先にとって、一度にまとめてつくることで効率化したり、コストを抑えるために、まとめて購入、梱包、輸送することは多々あります。ロットの決め方には、必要数どおりに手配する方法、固定数量やその倍数でまとめる方法、一定期間の需要をまとめる方法などがあります。
ここでは、100個単位で手配する例を考えます。2日に不足する170個を満たすには200個の手配が必要で、使用後は30個が残ります。必要な数よりも多く手配することになりますが、次回の手配時に、その在庫を使用することで、手配する数や在庫数を調整していくわけです。ここまでで、手配するためのオーダー数量が確定しました。
⑤LT反映

数量が決まったら、必要日から手配に要するリードタイムをさかのぼり、着手・発注日を求めます。部品が必要なのは、親製品が完成する日ではなく、その部品を使う工程の開始時点です。完成日・部品の使用日・手配日を分けて考えましょう。図は、日付を1日前にずらす考え方を示しています。実際には、親工程の組立期間と、部品自身の製造・調達期間を区別して設定します。
例えば、部品Bを2日に受け入れる必要があり、その手配リードタイムが1稼働日なら、着手・発注日は1日です。その前工程がさらに1日必要なら、その工程はもう1稼働日さかのぼります。休日を除くかなど、カレンダーの条件も揃えます。数量だけでなく、工程間で部品を使える時点がつながっているかを確認することが重要です。

こういった計算をすべての部品や材料に対して計算することでようやく、仕入れ先や製造部門へオーダーを出すことができるようになるわけです。
おわりに
今回はMRPの計算ロジックについて解説をしていきました。普段使用している人は、体感的に理解できているかと思います。BOMの重要性や手配のための工程マスタ、発注マスタの重要性も理解し、その過程を正しく説明できるようにしておきましょう。

