生産管理の基礎知識 品質管理

品質管理の基本とQC7つ道具

品質を保つ仕事と、データから改善点を見つける道具。パレート図・管理図などの使い分けと注意点を紹介します。

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品質管理の基本とQC7つ道具の参考画像

品質管理は、顧客が求める品質を維持し、改善していくための取り組みです。製造業では、不良の低減や工程の安定が、生産性の向上やコストの削減にもつながります。

統計を使って品質を捉えるSQC、全社で品質改善に取り組むTQC、経営全体で品質を重視するTQMなど、対象や考え方には違いがあります。この記事では、現場で押さえたい基本とQC7つ道具の使い方を整理します。

この記事の目次 全3項目

品質管理の重要性

もし品質管理を行わないとしたら、低品質の製品や不良品をそのまま販売することになります。結果、購入者からのクレームが増加して、自社製品や企業への信用が低下する恐れがあります。不良品によって不利益を被るのは、企業だけではありません。不良品を手にした購入者が事故を起こしてしまったり、怪我をする可能性もあります。

万が一の場合、不良品が原因で火事や交通事故などの重大事故が発生して、不特定多数の人々へ危害を与えてしまうこともあるでしょう。不良品が原因で事故が発生した場合、損害賠償の支払いが発生するなど、経営継続に影響を与える事態に陥ることも考えられます。これらのトラブルを回避し、安定した品質の製品を提供するためには、適切な品質管理が不可欠なのです。

適切な品質管理によって、不良品が出荷されるトラブルを防ぎ、安心して使用できる製品を提供できれば、企業としての実績が認められ、信頼性や顧客満足度が向上します。製品・企業への信頼性が高まることで、新規顧客獲得やリピーターの増加による売上アップ、長期間の経営継続も期待できます。

工程管理

工程管理は、製品を製造する作業工程を適切に管理する業務です。作業手順や条件を揃え、必要な記録を残すことが基本です。工程の特性に応じて管理図などを使い、通常と違う変化を見つけます。従業員の技術力に個人差があると、製品の仕上がりにばらつきが生じます。従業員が作業を適切に行える一定の技術力を得るためには、従業員の作業訓練や知識の習得など、教育面も意識する必要があります。

製造に使用する設備は、維持や管理を行わなければいけません。設備は、摩耗や経年による劣化が生じます。そのため、定期的に点検し、必要に応じて修理や交換を行います。このように、作業工程を技術面や設備面などから最適化することで、作業ミスの発生を防止して、製品の品質向上や作業効率化につなげます。

品質検証

品質検証は、製品の品質や機能に問題がないかを検証する業務です。製品の原材料や部品の受け入れ時には「受け入れ検査」各製造工程では「工程内検査」製品の完成時には「完成品検査」倉庫に保管していた製品の出荷時には「出荷検査」と、要所で必要な品質検証を実施します。検査方法は、製品の特性や必要な保証内容に合わせて選びます。強度などを破壊試験で確かめる場合もあれば、外観・寸法・機能を確認する場合もあります。すべての完成品に同じ検査を行うわけではありません。

判定基準には、顧客と合意した仕様、設計図面、法令、適用する規格などを使います。検査は、製品が要求を満たすかを確認するものです。一方、工程能力の評価は、工程のばらつきと規格の関係を調べるものです。Cpは規格幅と工程のばらつきの関係、Cpkは平均の偏りも考慮する指標です。安定した工程か、分布やサンプルの条件が適切かを確認してから使います。

品質改善

品質改善は、不良品の発生予防および再発防止のために改善を行う業務です。不良品の再発を防ぐためには、「QCストーリー」と呼ばれる問題改善に用いるプロセスを使用します。QCストーリーは、不良品が生じた原因を調べるためにデータ収集して現状を把握し、原因を分析して対策を講じ、解決していく手法です。

不良品を未然に防ぐためには、「工程FMEA」などの手法が用いられます。FMEAとは「Failure Mode and Effect Analysis」の略で、日本語では「故障モード影響解析」と呼ばれています。製造プロセスで生じる恐れのあるさまざまな要因を洗い出し、不良品発生の予防を図る手法です。

QC7つ道具とは

QC7つ道具はQC(品質管理:Quality Control)において問題解決など改善活動のために使う情報分析やデータ解析のためのツール群です。QC7つ道具は主に定量的な数値データの解析に使用するものですので、品質管理に限らずあらゆる場面で効果を発揮します。必ず押さえておきましょう。

ここではグラフと管理図を分けた7項目で紹介します。資料によっては、この二つを合わせて一つと数え、「層別」を加えます。層別は、設備・作業者・材料ロットなどでデータを分けて違いを見る考え方です。以下の道具と組み合わせて使います。

①パレート図

パレート図は、問題を項目別にまとめ、出現頻度の大きさの順に並べた棒グラフと累積和を示した折れ線グラフを組み合わせた図です。

◆パレート図を使ってわかること

パレート図に表すことで、問題の重要度や全体に及ぼす影響、改善による効果などがわかります。またABC分析にも活用できます。

◆具体的な活用シーン

  • 品質不良を改善するために着手する優先順位を決めたいとき
  • 在庫管理の方法や発注方式を決めるとき
  • 事業継続計画作成の際に、災害時に優先して継続すべき事業や製品を決めるとき
①パレート図の図解
①パレート図図を押すと拡大できます

②特性要因図

特性要因図は、特性と要因の関係を系統的に結んであらわした図であり、魚の骨図(フィッシュボーン図)とも言われています。QC7つ道具で数少ない言語データの解析に使用するツールです。問題の因果関係を整理し原因を追究することに使用します。

特性要因図で整理できること

問題に関係しそうな要因を整理し、調べる候補を洗い出せます。図に書いたつながりが、そのまま実証された原因になるわけではありません。データや現場の確認で検証します。管理用:予防目的で管理を必要とする事項をすべて列挙したもの解析用:すでに発生したトラブルの現場データ(特徴)を収集し、データからボトムアップ(帰納的)に要因を推定していく解析用では、大骨の要因を4M(人:Man、機械:Machine、材料:Material、方法:Method)にすることが多いです。

◆具体的な活用シーン

  • プロセスの問題発生を予防するために管理項目を洗い出すとき
  • さまざまな問題に関して発生原因との因果関係を明確にさせるとき
  • 製造現場だけでなく、仕事上のトラブル予防や問題の解析を行うとき
②特性要因図の図解
②特性要因図図を押すと拡大できます

③折れ線グラフ、円グラフ

グラフには多くの種類がありますが、データを図形などで可視化することで、数字の羅列ではわかりにくい大きさの変化やデータの特徴などを理解しやすくするために使用します。

◆グラフを使ってわかること

2つ以上のデータの関係を見える化するために使用します。見える化することで、経時変化を知る、傾向を知る、数字(割合)の大小を比較するなどのことができます。QC7つ道具の中のパレート図やヒストグラム、散布図もグラフの一種となります。

◆具体的な活用シーン

  • 売上高推移など、時系列の変化を把握したいとき(折れ線グラフ)
  • 項目ごとの大小を比較したいとき(棒グラフ)
  • 全体の中で、各項目が占める割合を可視化したいとき(円グラフ、帯グラフ)
③折れ線グラフ、円グラフの図解
③折れ線グラフ、円グラフ図を押すと拡大できます

④ヒストグラム

ヒストグラムは、測定値を区間に分け、それぞれに入るデータの数(度数)を棒で表した図です。区間の幅や分け方によって見え方が変わるため、条件も確認しましょう。

◆ヒストグラムを使ってわかること

データのばらつきや平均、偏りを視覚的に把握できます。例えばある製品の特性を特定したり、どの客層によく購入されているのかを明確にしたりすることが可能です。

◆具体的な活用シーン

  • 検査値や加工寸法など、測定データのばらつきを把握したいとき
  • 経営状況を解析したいとき(購入頻度、客単価などの度数を見える化)
  • KPIを改善するポイントを探したいとき

⑤散布図

散布図は、二つの特性を横軸と縦軸にとり、観測値に点を打って示すグラフです。

散布図で分かること

二つの特性の関係や外れた点を確認できます。ただし、相関があることと、一方がもう一方の原因であることは同じではありません。

◆具体的な活用シーン

  • 2つの特性に相関があるか確認したいとき
  • 異常値の有無を確認したいとき
  • 変動費・固定費の内訳がわからない企業の損益分岐点売上高を推定したいとき
⑤散布図の図解
⑤散布図図を押すと拡大できます

⑥管理図

管理図は、連続した観測値や特性値を時間順に打点した折れ線グラフで、中心線(CL)と上側管理限界線(UCL)や下側管理限界線(LCL)をもつ図です。管理限界は、工程の通常のばらつきから設定します。代表的な3σ管理では、図に描く統計量の標準偏差を基準にします。計算式は管理図の種類によって異なり、規格上限・下限とは別のものです。

◆管理図を使ってわかること

あらかじめ収集したデータを使って作成することで、工程が安定な状態にあるかがわかります。また、CLやUCL・LCLといった線を入れた記録用フォーマットに日々のデータをプロットしていくことで、工程の不具合や不良品発生を未然に防ぐために必要な情報も得られます。

具体的な活用場面

  • 寸法や不良率などの変化を時系列で監視するとき
  • 通常とは違うばらつきや傾向を見つけたいとき

管理限界内にあることだけで、製品が規格を満たすとは判断できません。

⑥管理図の図解
⑥管理図図を押すと拡大できます

⑦チェックシート

チェックシートは項目別にデータを収集する場合や実行すべきことの確認に使われる表であり、調査やデータを記録したり、作業の点検や確認に使ったりします。

チェックシートで分かること

記録項目を揃えると、発生状況や作業の実施状況を後から確認できます。測定値を記入する帳票や、度数を数える用紙などが代表例です。また、形式を変えれば、その作業がきちんと行われているのかを把握できます。こうした点検用として使われるチェックシートには、例えば飲食店のトイレ掃除点検用紙、設備の始業前点検シートなどがあります。

◆具体的な活用シーン

  • 調査のためにデータを収集するとき

例えば、今日の作業でのパイプの切断寸法を記録したり、店舗前を通過する時間当たりの人の数を記入したりするとき

  • 作業点検チェック表や清掃点検表のように、抜け漏れなく作業を行っているか確認したいとき
  • 敷地境界の騒音値や工程における不良品の数と内訳など、実態を把握したいとき
⑦チェックシートの図解
⑦チェックシート図を押すと拡大できます

まとめ

QC7つ道具は、問題を見つけ、原因を調べ、改善の結果を確かめるための基本的な道具です。すべてを毎回使うのではなく、知りたいこととデータに合うものを選びましょう。

参考資料

  1. 愛知県総合教育センター「QC七つ道具」