生産管理の基礎知識 異常・災害への備え

製造業のBCPとは

人命の確保を前提に、どの仕事を優先し、いつまでに戻すか。製造業の事業継続計画で確認したいポイントを紹介します。

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BCP(事業継続計画)は製造業にとっても重要なものです。「BCPは国や自治体、インフラ企業やグローバル企業などがつくる特別な計画で、製造業では防災対策があればよい」と考えられがちですが、それは誤りです。実際には、在庫管理やサプライチェーンをもつ製造業こそ、事業規模の大小を問わずBCPを必要とする業種です。

製造業がBCPを策定すべき理由と、製造業におけるBCPの概要、具体的に注目したいポイントについて解説します。

この記事の目次 全4項目

BCPとは

BCP(事業継続計画)は、災害や事故などの緊急時にも、中核となる事業を継続し、停止した場合は目標とする時間内に復旧するための計画です。人命と安全の確保を前提に、必要な準備と判断を決めておきます。災害発生直後は、何よりもまず命を守り安全を確保する必要がありますが、企業活動を中断し、再開できない期間が長くなり生産が停滞することは、取引先からの信頼を落とすことに繋がります。

その結果、早く復旧した競合他社にシェアを奪われるおそれもあります。BCPは、災害や事故によって企業活動が脅かされたときでも、事業を継続させるための計画です。優先する事業、許容できる停止期間、必要な人・設備・資材・情報を整理し、被害を受けたときの代替手段も考えます。すべての業務を無理に続けることが目的ではありません。

製造業のBCPとは

日本は「災害大国」と呼ばれるほど自然災害が多く発生するため、その対策でもあるBCPは、どの組織にとっても必要とされています。特に製造業は、その工程の中で多くのサプライヤーから資材や部品を調達し、複雑なサプライチェーンを形成しています。そのため、災害発生時にどの工程の何がボトルネックになるかを見定め、事業を守る施策をしなければ、グループ全体へ大きな影響を及ぼしてしまいます。

製造業では、一つの仕入先や物流経路が止まるだけでも、離れた工場の生産に影響することがあります。自社の被害だけでなく、取引先やインフラが止まる場合も想定しましょう。中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」では、規模に応じた計画の作成と、継続的な運用の進め方が紹介されています。

事業を停止させないために

まず、人命と安全を確保したうえで、どの事業を優先するかを決めます。その事業を支える工程・資材・設備・人員・情報のうち、止まると復旧を妨げるものを把握します。物流や電力などの復旧期間は、災害の規模と地域、被害状況によって異なります。「通常3日、大規模なら7日」と固定せず、自社の想定と目標復旧時間に合わせて準備します。

その期間、自社の最も中核となる事業が継続できるだけのリソースを、社内外を問わず確保しておく必要があります。自社内の設備が被災しないための対策や人員確保に加え、流通が停止している間の資材や部品が滞らないよう備蓄しておく在庫調整も重要です。ただし、在庫は存在しているだけでコストがかかります。

必要な備えと平常時の費用を比較し、代替調達や複数拠点の活用なども含めて検討します。在庫を抱えてでも備えておくべき案件は何なのかを見極め、在庫の循環を意識した業務の棚卸しをしましょうまた、最近はサイバーセキュリティの観点でも、インシデント対策訓練なども重要です。

様々な観点において、有事を見据えたシミュレーションをしておくべきでしょう。

おわりに

BCPは、取引先を含む事業のつながりを確認する機会にもなります。連絡先や代替手段が、実際に使える状態かを確かめましょう。いずれにせよ、BCPは策定するだけでは「絵に描いた餅」です。平時から訓練や研修を行ってBCPの実行性を高め、事業継続力の向上を図っていきましょう。

参考資料

  1. 中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」