BOM(部品表)における管理方法の違い

一口にBOMといっても、
管理やプロセスの違いによって、
様々なBOMがあることを知っていますか?

生産管理をしていて、
MRPのために使っているBOMは
あくまで数あるBOMのうちの一つです。

製造業における業務プロセスの中で
最適なBOMを用意して活用していく仕組みが重要です。

ぜひ理解を深めていきしょう。

業務プロセスとBOM

まずは業務プロセスを見ていきましょう。
受注から調達・生産・出荷・販売までのプロセスを最適化することを
SCM(サプライチェーンマネジメント)と言います。

そして、製品企画から、設計、試作、保守、分析といった流れを
ECM(エンジニアリングチェーンマネジメント)と言います。

こういった業務プロセスにおいて、
メインとなるのは設計で使用するE-BOM製造現場や生産管理が使用するM-BOMの二つです。

会社によって、また、扱うシステムによって、
調達業務で使用するP-BOM、販売業務で使用するS-BOM、補修品やサービスパーツに関するS-BOMなどもあります。

今回は、製造業におけるこの5種類のBOMについて、順に解説をしていきます。

E-BOM(設計部品表)

まずは、E-BOM、これは設計部品表のことを指します

E-BOMとは、製品設計の仕様を満たすために必要な部品をまとめた、
開発・設計部門で使われる部品表です。

これひとつで、それぞれの部品の仕様や製造に必要な技術も把握することができます。

CADや図面、技術ドキュメントなどの設計情報から出力したデータを、
ストラクチャ型の階層構造で登録。

必要な部品数や構成、技術情報などを管理できます。

M-BOM(製造部品表)

そして、次が、生産管理において最も馴染みがある、
M-BOM,いわゆる製造部品表です。

これは、先ほどの設計部門で管理するE-BOMに対して、
部品の組み立て順序や加工工程などの情報が追加され、製造部門で活用される部品表のことです。

EBOMそのままの形では生産部門では使いにくいため、
設計部門から受け取ったE-BOMをM-BOMに加工した後に使用するのです。


このM-BOMの情報をもとに生産スケジューリングや生産指示、
加工リードタイムを考慮した部品手配、進捗管理などが行われます。

S-BOM(販売部品表)

そして次が、S-BOM(販売部品表)です。

これは営業部門や販売部門で使われる部品表で、
販売支援システムと連携して使用されることが多いです。

販売に関する情報を一元的に管理できるため、主に販売支援で活用されます。

企業によってはMーBOMをそのまま販売部品表として用いるケースもあるので、
あえて区別をせずに使用している会社も多いかもしれません。

P-BOM(購買部品表)


そして次がP-BOM(購買部品表)です。

これは、購買部門にて調達する部品をまとめた部品表のことを指します。

発注する数量や発注価格、仕入れ先の情報など、
さまざまな情報をまとめているので見積もりを容易に作成できます。

M-BOMに情報を追記して利用されるケースもありますが、
専用の購買部品表を導入すれば部品調達を大幅に効率化できるようになります。

S-BOM(保守部品表)

そして最後がS-BOM(サービス部品表、保守部品表、メンテ部品表)と呼ばれるものです。

これは保守・メンテナンスや製品サービスに用いられる部品表で、
メンテナンスに必要な部品の管理や発注管理ができるほか、製品を購入した顧客の管理も行えます。

販売部品表と同じくS-BOMと表記される場合もあるので、混同しないように注意しましょう。

おわりに

今回は業務プロセスとBOMの関係性について解説しました。

近年は「統合化BOM」というキーワードも出てきています。
ぜひ、広い視野をもってBOMと向き合っていきましょう。



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