生産管理における3要素QCDとは?
製造業には、
生産計画・フロー管理・在庫管理・品質管理など、
一貫した生産管理が欠かせません。
顧客を満足させながら効率的に商品(製品)を生産するためには、
QCDを意識した生産管理が必須です。
QCDとは、製造業において生産管理に欠かせない3つの要素である
「Q品質・Cコスト・D納期」のことを指します。
今回は、QCDの概要や優先順位、
QCDに沿った生産管理方法を紹介します。
生産管理のプロセス改善についても解説しているので、
生産性向上の参考にしてください。
目次
生産の3要素について
◆品質:Q(quality)
生産管理の基本として目指すべき3つの要素があります。
その最初がQ: Quality = 品質です。
当然ながら、
品質の目標は、顧客の要求品質を満たすことです。
商品企画・設計上の 機能品質を確実に満たし、
不良率を最小化することを目指します。
品質の管理としては、
合格基準を設け、一定の品質を維持します。
「仕様書や図面どおりになっているか」
「お客さんは満足するレベルか」など、
明確な基準が設定されているのが通常です。
基準に合格した商品は、
「品質チェック済み」として顧客へ納入され、市場へ出ていきます。
仮に不良品が出た場合は、返品・交換対応などを迅速に対応が必要です。
◆コスト:C(cost)
生産管理として管理すべき要素の2番目はC: Cost =コストです。
利益を増やすためには、
①価格を上げる
②販売数量を増やす
③コストダウンする
という3つのアプローチがありますが...
①の価格は、近年は競争が激しく、
企業が思うように決定することが難しくなっています。
②の販売数量は、
顧客からのニーズや市場、
時代流れなど、外的要因も大いに絡んでくるので
コントロールしづらい部分です。
そこで、 生産管理で担うのは、③のコストダウンです。
コストだけは企業努力で管理できます。
購入品の原価低減を行ない、
工場では常に効率生産性を向上させ、コストダウンに励んでいます。
いかにムダを減らし、コストを下げられるかが、
永続的な利益を上げる体制の構築に繋がってくるわけです
また、Cでは一定の品質を保ちつつ、
納期内に商品を完成させるための費用を見積もるケースもあるでしょう。
その際は、最初から低く設定するのではなく、
品質と納期を考慮して最適な予算組みが大切です。
費用を抑えられても、
品質が悪かったり納期が遅れたりするなら意味がありません。
十分な品質を保ちかつ納期内に完成できる、
余裕のある予算を組むことが重要です。
さらに、稼働中は予算内で製造できているかを確認していくことが不可欠です。
◆納期:D(delivery)
どれだけ品質を保ち、コストを抑えたとしても、
D:Delivery = 納期が守られなければ、
販売することができません。
納期を遵守することによって、
販売のタイミングを逃がさず、売上が成立し、
ようやく顧客からの信頼を得られます。
納期を遵守せず、欠品になっていたり、
平然と納期が遅れたりすると、
顧客はそっぽを向いてしまい、
次の販売機会や注文を失うことにつながりかねません。
生産管理をきちんと行なうことで、
納期どおりに製品を仕上げ、
タイムリーに届ける体制が築けるのです。
また、Dで重要なことは、
作業に必要な工数と時間を事前に見積もることです。
どのような工程が必要かをピックアップし、
スケジュールとして一覧にまとめておくことです。
さらに稼働中はスケジュールどおりに
作業が進んでいるかを確認できる状態を作っておき、
遅れが出た場合は柔軟に対応します。
状況にもよりますが、
納期より早すぎる完成の場合、
一時的に在庫が増えて置き場に困ってしまったり、
管理コストがかかってしまいます。
「品質に問題あるのではないか?」とクライアントは不安を感じるおそれもあります。
そのため、生産管理では、
スケジュールどおりに作業を進めるために最善を尽くすべきです。
QCDをバランスよく保ち、
適切な状態を維持していくことが良い生産管理につながるというわけです。
QCDは多様化している
時代は進み、
社会的責任「CSR」に伴いQCDの多様化が進んでいます。
良いビジネス、良いモノづくり、
良い会社運営をするための管理指標は
QCDの3要素だけでは不十分ということです。
QCDに加え、いくつかの要素を加えて管理していくことが
重要になってきていますので、それらを合わせて紹介していきます。
◆安全:S(Safety )
QCDに続いて生産管理で重視されるのはS: Safety = 安全です。
工場で はたくさんの設備が稼働していて、
油断すると大事故に結びつきます。
そのため、「事故ゼロ」 日数の継続は、
工場では管理上の重要な指標となるので、
多くの工場ではこの日数をカウントして掲示しています
また、作業標準を作り、
標準を守って生産することが、安全性を増す一番の秘訣です。
ヒヤリハット案件を見逃すことなく、適切な標準作業を徹底していくことが重要です。
◆モラル:M(Morale )
続いては、M: Morale=モラルです。
工場は人で運営されます。
工場で働く作業者の意識を高め、
スキルを高め、工場を統率するのも生産管理にとっても重要な役割です。
◆環境:E(Environment )
SDGsをはじめとして、
持続可能な社会の高まりを受け、
生産過程における環境負荷を重視する動きがあります。
環境への影響がどういった状態にあるのか、指標して管理していくべきです。
◆サービス/サポート:S(Safety/Service/Support)
これは商品に関するアフターサポートや
問い合わせサービスを指しています。
そのほか「Service(顧客対応)」や
「Support(サポート)」を意味することもあるので、
そのあたりは会社によって異なってくるでしょう。
◆柔軟性:F(Flexibility)
製造業やサービス業の現場で使用されます。
製品開発においてもこれらを考慮することで、
売り上げやブランド力の強化、顧客満足度の向上などに役立てることができます。
以上のようなことをプラスした管理指標として、基本のQCDに加えて、
・EQCD
・QCDS
・QCDF
・QCDSM
といった形で、様々な角度から状況を把握することによって、
より良い会社経営につなげられることになるわけです。
全てを覚える必要はありませんが、
そういった項目があることは理解しておくと良いでしょう。
生産管理の3要素QDCの優先順位と管理するポイント
ここまで解説をしてきた通り、
生産管理の3要素QCDは、どれも重要です。
しかし、その中でも優先順位が存在し、
特に抑えなければいけない、
意識すべきポイントがありますので、解説をしていきます。
まず、品質が安定していなければ、
コストも納期も達成できないという意味を込めてQ(品質)が先頭に来ています。
そのため、品質は、何よりも最優先です。品質が落ちると、
クレームにより信頼が低下し、
注文がもらえないことにもなり得ます。
また、手直し、やり直しにより、納期遅延やコストアップへも繋がってしまう可能性も秘めています。
そして、第2優先は、Delivery(納期)と言えるでしょう。
これは会社によっても考え方に違いがあるかもしれませんが、
一般には、納期が次に重要だと言われています。
もちろん、コストを下げたりすることで
会社の利益を上げることも重要ですが、
そもそも納期が長いと、注文をもらえません。
また、納期に遅れても信頼が低下し、
注文がもらえなくなってしまいため、納期の重要性が高まっています。
そして、第3優先は、Cost(コスト)です。
優先度は3番目とは言え、コストは利益に直結します。
競争力へも直結します。
コストが高いと、当然利益は出ません。
そして、価格が高いと、お客様から注文をもらえません。
以上をまとめると、
企業においては「Q:品質」は絶対的な要素です。
更に、「D:納期」で他社との優位性や顧客との信頼を築き、
「C:コスト」を下げて競争力を獲得していくようにする
という視点が大事であることを理解しておきましょう。
まとめ
顧客を満足させながら効率的に商品(製品)を生産するためには、
QCDを意識した生産管理が必須であるという解説をしてきました。
QCDとは、製造業において生産管理に欠かせない3つの要素である
「Q品質・Cコスト・D納期」や、
今ではそれ以外に多くの角度から管理していくことが、
よりよい生産管理をしていくことにつながる
ということを十分に理解しておくと、
問題点や本当にやるべきことが見えてくるでしょう。
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