工数計画(負荷計画・能力計画)を知る

生産管理はヒトの管理をすることも仕事の一つです。

また、立案した生産計画に対して、設備の負荷状況はどうか、
人員計画はどうか、を数値で計算して実現可能性を判断していくことが重要です。

ヒトや設備を適切に配置して、
効率よく生産できるように事前に負荷計算をしていくわけです。

その重要性や具体的な計算方法を見ていきましょう。

負荷計画の目的

まずは、工程管理における負荷計画が
どのようなものか見ていきましょう。

負荷計画とは、生産能力と生産負荷を調整した計画のことを指します。

工程管理を適切に行うためには、
その工程にどれくらいの生産負荷(仕事量)があるか把握する必要があります。

生産負荷は工数計画によって決められており、
その仕事をこなせるだけの生産能力が必要です。

生産能力と生産負荷が見合っていなければ、
生産が追いつかず、納期に遅れが生じるかもしれません。

一方で、生産能力が余っているとムダが生じて、生産効率が下がってしまいます。
そこで負荷計画を立てて、その状況を判断していくわけです。

負荷計画を立てることで、生産能力と生産負荷を調整して、
生産計画を実行可能性を確かめていきます。

人材や工場の機械に不足があった場合は、
人員の適正配置やラインの追加などの対策を事前に行います。

生産計画の作成と同じ段階で負荷計画を行うので、
生産能力に見合った生産計画を立てられるのです。

より効率的な作業配分・作業スケジュール策定のためには、
余力管理も大切なポイントで、数量が増減した場合のバッファを把握しておいたり、
予定に対する進みと遅れを調整する際に必要となってきます。

負荷率や余力管理は、多品種少量生産や注文生産が増えている昨今において、特に重要視されています。

負荷計画の計算手順

負荷率を計算する方法を紹介します。

◆ステップ1:負荷率計算に必要なデータを収集

まずは、必要なデータがそろっているのかを確認し、収集していきましょう。
負荷率の計算に必要なデータは以下の通りです。

・機械の標準工数(機械の台数及び製品別の標準工数)
・製品の作業にあたる人員数
・1人あたりが受け持つ機会台数
・人の標準工数
・1ヶ月間の生産量
・歩留まり率
・1日の稼働時間
・1月の稼働日
・出勤率

データの管理はERPソフトウェアがあれば容易ですが、
Excelで作成して管理しておくことも十分可能です。

データが揃ったところで、負荷率の計算を開始します。

◆ステップ2:機械の負荷率を計算

機械の生産能力と保有台数が適正かどうかを確認する作業です。
機械の生産能力は以下の式で算出されます。

1ヶ月の生産能力=(生産量/時間)×1日の稼働時間×1ヶ月の稼働日

機械の生産能力を算出した後、機械の必要台数を計算します。

機械の必要台数=1ヶ月に生産しなければならない数量÷1ヶ月の生産能力

機械の必要台数が現有保有台数を上回っている場合、
1ヶ月あたりの生産量調整や外注などの対応が必要です。

◆ステップ3:人の負荷率を計算

機械が不足していないか・期間内の製造が可能かを確認した後、
人に対しても同様に負荷率を計算します。

1ヶ月に必要な所要工数の計算式は以下の通りです。

1ヶ月に必要な所要工数=1ヶ月の生産量×標準工数

標準工数は、機械を1台扱うのか2台扱うのかによって異なる点に注意です。

Aという製品に対して、
機械を1台扱う場合の標準工数が0.01だった場合、2台になると0.005と半分に。

標準工数を間違えると生産計画が大幅に狂ってしまうため、念入りな確認が大切です。

続いて必要な人員数が整っているかを、以下の式で計算します。

必要な人員=1ヶ月に必要な所要工数÷1日の稼働時間÷1ヶ月間の稼働日÷出勤率

算出した必要人員数と保有人員数を比較。
人員が不足する場合は、残業・休日出勤の調整や派遣社員の獲得などで対応します。

負荷の調整方法

つづいて、具体的にどのようにして負荷配分を行うのか見ていきましょう。
基本的に生産計画は月次で作成されるため、月次の負荷計画が必要になります。

その月にどれくらいの数量を生産するか決めたら、
生産能力を把握して月次の負荷計画を作成します。

しかし、
毎日一定のリズムで生産ができるとは限らないため、
月次の負荷計画は日別の負荷計画に落とし込むことが必要です。

日別の負荷計画は大きく変わる場合もあるので、
月次の負荷計画では問題なくとも、週単位や日別で見ると過不足が発生する可能性があるのです。

日別の負荷計画では、
生産計画を達成できるように日ごとの仕事量を調整しましょう。

このように月次から日別の負荷計画へ落とし込むことで、より納期を守りやすくなります。

◆山積み


負荷配分を行うためには、
まず期間別にそれぞれの負荷を積み重ねる「山積み」をします。

生産工程に必要な資材・人員・機材といった資源と、
負荷を明確にするために山積み表を作成しましょう。

基本的に横軸に期間(「月」または「週」)、縦軸に工程別の負荷を示したグラフを作成し、
全体の仕事量を洗い出してください。

山積み表を作成したら、次にその期間ごとの生産能力を反映させた「能力線」を引いてください。

この能力線から溢れている負荷は、負荷配分が必要な対象となります。

負荷がこの能力線を下回っている場合は、
生産能力に対して仕事が足りておらず、企業の損失となってしまうので注意しましょう。

このような負荷が少ない期間に仕事を入れることも山積みと呼びます。

◆山崩し

効果的に生産を行うためには、
生産能力に対して過不足ない負荷に調整する必要があります。

作成した山積み表の中で、
対策が必要な負荷が超過した分を能力線に合わせることを、「山崩し」と呼びます。

簡単にいえば、生産能力が超過している部分があったとき、
仕事が足りていない期間に負荷を割り当てることです。

このように、
生産能力に対する負荷を平準化し、
最終的な生産計画を作成します。

もし山積み表を作成した際に、
能力線を下回る期間がない場合は山崩しができません。

この場合は、絶対的なキャパシティ不足になるため、
人員を確保して生産能力を向上させる必要があります。

おわりに

得意先からの受注に対して対応し、
生産計画を実現させるためには、負荷計算は避けては通れません。

また、データ上での計算も重要ですが、現場の状況や事情を反映させることも必要です。
正しい情報・データをもとに事前シミュレーションを大事にしていきましょう。


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