需要予測手法を習得しよう
ここでは需要予測の手法、予測モデルの代表例を紹介します。
どれが良い、
という話ではなく需要の特徴を理解し、
傾向にあったモデルを適用していくことが重要です。
今回は複雑な計算式は省いて解説をしています。
近年ではシステム化、AI化している会社も多いかもしれませんが、
システムの計算式もこのあたりの予測モデルを採用し、アレンジしていることが多いです。
算出根拠や算出過程をブラックボックス化せず、理解しておくことが重要です。
それではいきましょう。
移動平均法
移動平均法は、
移動させながら平均をとっていく方法です。
特定期間の過去のデータの平均値を用いて需要予測をします。
過去のデータの一部分を平均化することで、
時系列データの短期的な変動を滑らかにして、データの中心的傾向を見ることが可能です。
具体的には、規定された期間のデータを足し合わせて、合計を期間のデータ数で割ります。
例えば、過去3カ月の移動平均であったら、
1月前・2月前・3月前のデータを合計し、データ個数の3で割ります。
短期的な変動やノイズを除去して、
中期的な傾向を見ることが可能で、算術平均よりも需要のトレンドの把握に役立つでしょう。
一方で長期的なトレンドやパターンを捉える点は難しく、
選択する期間で予測結果が大きく変わる場合があるため注意しましょう。
指数平滑法
指数平滑法は、
前期の実績値と予測値から重みづけをして今期の予測をする方法です。
時系列データから予測値を算出し、
最新のデータに重みを置きながら、
徐々に過去のデータに対しての重みを減らします。
新しい情報ほど予測に大きな影響を与え、
古い情報は徐々に影響が小さくなるという考え方の手法です。
過去実績の季節性やトレンドは除去してしまうため、
需要が一定の水準でランダムに変動するような需要特性を持つ製品に向いています。
ホルト・ウインタースモデル(三重指数平滑法)
ホルト・ウィンタース法は
三重指数平滑法とも呼ばれ、指数平滑法を発展させた手法です。
トレンドと季節性を同時に考慮します。
時系列データの予測をおこなう1つの手法です。
指数平滑法で設定した平滑化定数以外に、
トレンド要素の平滑化定数と季節要素用の平滑化定数を決定します。
0から1の間の値でそれぞれ設定し、
大きい値ほど直近のデータへの反応が早く、小さいほど反応は鈍くなります。
トレンドが時間とともに変化し、
一年を通じた規則的な変動の季節性を持つような時系列データの予測に適しているでしょう。
それぞれの平滑化定数であるパラメータを設定する手間がかかり計算が複雑になる点がデメリットとも言えます。
時系列分析法
時系列分析法は、過去の実績を時系列に沿って分析する手法です。
前年度の実績を基にして今年度の予測をするなど、
比較的簡単に予測できるもっともポピュラーな手法と言えます。
ただし、過去の実績をそのまま流用するだけではなく、
トレンドや季節変動や循環変動、社会情勢なども考慮して予測を立てなければなりません。
下記のように、考慮する対象の違いなどによって時系列分析法はさらに4つに分けられます。
・季節手法
・非季節手法
・ARIMA(自己回帰和分移動平均)モデル
・重回帰分析
バレンタインやクリスマスなどの季節性が重要な製品の場合は季節手法を用いるなど、
適切な分析法を選ぶことが重要です。
クロストン法
クロストンは、
平均需要サイズについて個別の指数平滑化推定を計算し、
次に需要間の平均間隔を計算することで予測を行う手法です。
クロストン・モデルは需要が”0”だった期間の発生確率と
それ以外の実績が発生した期間をわけて一定期間(例:1年間)に何回需要が発生し、
どの程度の量がうまれるか、発生サイクルと量を予測するものです。
回帰分析法
回帰分析法は、
因果関係がある数値同士の関係性を求め、結果を予測する手法です。
1つまたは複数の説明変数(独立変数)と目的変数(従属変数)との関係をモデル化し、
説明変数から目的変数を予測します。
需要予測においては目的変数が需要、
説明変数が価格や経済指標など需要に影響を与える要素です。
ExcelやGoogleスプレッドシートで簡単に回帰式を求められます。
統計的管理の側面で、品質管理や特性管理において非常に頻繁に用いられる手法です。
必ず押さえておきましょう。
おわりに
需要予測モデルについて紹介していきました。
さまざまなモデルについて、
それぞれを理解しておくことで適切なモデルを自分の業務に当てはめていくことが重要です。
カンやコツ、経験則からくる感覚で行っている人も多いですが、
過去のデータをもとに論理的に予測していくことでその精度を高めていくことが重要です。
予測が外れた場合に、次につなげるためにも算出過程をしっかりと理解しておくと良いでしょう。
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